モロッコの青い誘惑
夢先案内人
ひとたびこの城郭都市の迷路のような路地に足を踏み入れれば、青の誘惑に異界を彷徨うことになるとモロッコの案内人は言う。
Kobayashiのことだ、きっと喜び勇んで青の迷路に入り込んで行ったに違いない。
kobayashiの異端とも言える個性的色彩感覚は何處から来るのだろう
漆黒の闇に群青色が溶けだし、暁の闇の瑠璃紺へと全ての生命の泉から煌めく多彩な色彩となって溢れ出す
今回の旅の土産だと、彼はちっぽけな壜の中の赤茶けた砂に埋もれた創世記の化石を私に手渡してくれた。これは前回の白萩の個展でインスパイアーされたモンゴル大草原・フルンノールの彷徨える湖、早暁湖畔で隆起した霜柱を思い起こさせた。
あの時のアトリエ内で次々に姿を現したマンモスの骨や廃墟となった古代遺跡の壁や古代人のマスクや道具類の遺物に魂を吸い取られる感覚が甦った。
kobayashiの色彩感覚は伝統に縛られた陶芸界からは異端と言えよう 。 しかし異端児こそが次の時代への夢先案内人であった。 私たち小林ファンはそれを共有してきた気がする。
モロッコタワー